タイムスリップよこはま 〜TIME SLIP YOKOHAMA〜  
よこはま言葉

2006.9.20

8回目となるよこはま言葉だが、今回は「よこはま言葉」という横浜特有の方言の成り立ちについて説明しよう。

横浜の方言は、わが国の方言分布図中のいわゆる関東語に属し、ひとつは横浜方言として、ひとつは東京方言として存続してきた。
しかし、その本質や発達の過程、内容においては全く異なり、それぞれ特異の言語を形成し、一種の方言となったものも中にはある。
そのような中で、「よこはま言葉」は開港当初からその存在価値を発揮し、歴史を誇ってきたものなのである。

横浜の開港により、わが国は目まぐるしい発展をとげ、それに伴い風習は著しく欧米の風潮に傾いた。
もちろん言語もこの影響を受け、独特な「よこはま言葉」なるものが生まれたのである。

開港後に日本へ渡来してきた異国人の口から邦人の耳へ、そして邦人の口から異国人の耳へと未熟な言語が交わされ、 これによって幾多の外国語が混合し、邦語化されて発生したものが「よこはま言葉」の起源なのである。

開港後に日本へ入ってきた外国語が、その語音や抑揚などをもとに次第に邦語化されていき、 これら和製外国語(よこはま言葉の起源)を当時の横浜住人の間では通例の会話として用いるに至り、 現在私たちは日常の会話の中で知らずのうちに使用しているのである。


2006.7.20

7回目では今も使われている横浜言葉について少し説明したい。

昔はごく一般に使われていた「ちゃぶ台」だが、「ちゃぶ台」の「ちゃぶ」とは横浜言葉で「食事」という意味で使われていた。
また、漢字で書くと「卓袱台」となる。
この卓袱はどうやら中国から来た「テーブル掛け」という意味が変化していったのだろう。
卓袱台とは中国での「中国風の食卓」という意味である。
日本ではこの「ちゃぶ台」は大正時代から戦中まで遡るが家庭で用いられた。
主に食卓としての利用が基本の用途だったと思う。

余談だが、 アニメ「巨人の星」でも家庭内にちゃぶ台が登場する。



2006.6.27

6回目にあたる今回もよこはま言葉の魅力についてもっと知ってほしい為、他にどのようなよこはま言葉があるか説明したいと思う。

「ピジン」とはビジネスがなまったもの。
起きる「ゲタップ」、坐る「セッダン」、後ほど「バエンバエ」(by and by)などのように実際の言葉がわかりやすいものもあった。
ただノウノウは、(あやまる)と訳され意味がずれているものもある。



2006.5.31

よこはま言葉5回目にあたる今回では思考を変えて紹介していこうと思う。

今まで4回にあたって紹介してきた「よこはま言葉」は外人が発した言葉を日本人が聞き取り言葉になったものを紹介してきたが、 今回は日本人が発した言葉を外人が聞き取り言葉になった単語をいくつか紹介しようと思う。

まずは、「味噌汁」だが外国人はこれを「mee-so SHEE-roo」と聞き取っている。
また、「本当のことを言え」は「hoant-o no ko-TOE o eeYAY」、「助けて」は「ta-SKET-ay」と聞き取っている。
この単語は1944(昭和19年)年2月にアメリカの陸軍省から刊行した「日本語慣用句集」と言う冊子に掲載されている。

外人にとっても日本人にとっても言葉の壁をいろいろと工夫をし、乗り越えていることがわかるだろう。



2006.4.26

今回で4回目になる「よこはま言葉」。
今日では使用しないが、当時は料理人のことをよこはま言葉で「こつく」と言っていた。「コック」が訛った言い方をしていたのだ。
また、男を「ぺるそめん」、女を「をうめん」といった按配である。
この他にも父のことを「ふあうざ」、母のことを「まざ」、御爺さんのことを「げれうど・ふあうざ」、御婆さんのことを「げれうど・まざ」と言っていた。

また、1〜10までの数え方も「よこはま言葉」を使っていた。
1は「わん」2は「とう」3は「つれい」4は「ほう」5は「ふあい」6は 「せきす」7は「せぶん」8は「ゑい」9は「ない」10は「てん」と言っていた。

食べ物では、朝食を「ぶれそきふれすと」、昼食を「じんねる」、夕食を「そうぺる」と言っていた。

動物では、鶏を「ちいけん」、馬を「ほうす」、牛を「べふ」、犬を「どうけ」、猫を「けつと」と言っていたようだ。

まだまだ他にもたくさんあるが少しずつ紹介していこうと思う。



2006.3.31

3回目となる今回も色々なものをご紹介しよう。

現在、普通に使われている「ガラス」だが、昔はガラスの事をギヤマンと呼んでいたのは、 時代劇のセリフなどで時折耳にするところである。これなどは「ガラス」の方が一般的であり、 逆にギヤマンと言われてその意味を答えられる人の方が少ないかも知れない。

他にも奉公人や給仕を意味する「でっち」を指した「ボーイ」がある。 今ではでっちなどという言葉は殆ど使われておらず、「ボーイ」の方がはるかに洗練された言い方で語感にも差別的なイメージがない。 喫茶店やバーにいる男性店員の事を「でっち」とは言わない。

また、発音的に面白いのは「うすけ」である。 これは人名ではなくウイスキーの事で、前に紹介した「メリケン」と同様、 言葉自体が訛った結果だろう。ウイスキー以外にも酒はあったのだが、他の酒は不思議な事に全て「ワイン」と呼ばれていた。
因みに酔っ払いは英語でドランカーと言うが、これもよこはま言葉にかかると「ドランケン」となる。

さらに、寺は「テンプル」が正式な英語だが、当て字を使って「天保ハウス」という具合でなかなかのユニークぶりである。

活用範囲の広い言葉としては「オーライ」が挙げられる。当時の人々の間で外国人に対する返事は大概この「オーライ」で事が足りた。無論、正解は「All right」であるが、今やすっかり日本語と化している。

以上の他にも数々のよこはま言葉があるが、それは次の機会に紹介しようと思う。



2006.2.28

半ば外国のような環境だった開港後の横浜において外国語が人々の間で日常的に話され、 それにより「よこはま言葉」なるものが生まれた事は以前にも述べた。 この「よこはま言葉」は実に種々様々であり、 調べてみると非常に興味深い。ここでは、前に挙げたものの他に今でも存在しているものや、思わず納得してしまうものを取り上げてみた。

先ず、代表格はアメリカを意味する「メリケン」である。 これはアメリカンが訛った結果だが、正式な発音では「メ」に強いアクセントがあるのでこうなったのだろう。
船員のことを称し、誰もが知っている「マドロス」もよこはま言葉が語源である。
また、日曜日は「どんたく」、土曜日は半休で「半どん」だが、土曜の晩、つまり休日前夜を何とも小粋に「宵どん」と言った。
更に「ユウゴ、アイゴ」は一緒に行こうという意味で、「You go, I go」をそのまま発音した、当て字のような言い方をしている。
難解なものでは犬を指した「カメ」がある。なぜ犬がカメなのか。これは外国人が犬を呼ぶ時に使った言葉が 「Come here!」で、日本人にはそれが「カメ」と聞こえたのが真相である。

言われてみれば、なるほどと思ってしまう。 外国人の相手をする事の多かった横浜の商人達は、これらの言葉を含めた字引や教本のようなものを使用していたという記録も残っている。



2005.11.30

横浜は開港後、多くの外国人が生活していた場所だったので、日本人と外国人の接触も盛んに行われた。 外国語が文化の1つとして人々の中に浸透していったのもこの頃からである。
人々は、色々な国の言葉を吸収し、日本語と混成して使ったりした。 それらは後に「よこはま言葉」と呼ばれ、現在でも通用しているものもある。

例えば、「どんたく」はオランダ語で日曜日という意味であるが、 休日になると外国人達は楽しそうに歌ったり踊ったりして過ごした。これに習い、日本人の間でも、この「どんたく」という言葉が使われるようになった。

また、土曜日は半分の休日という事で「半どん」といったような、全く新しい言葉も生まれた。
さらに「グッドモーニング」を「ぐるもうねん」といったり、「グッドバイ」は「ぐるばい」といった按配である。

この他にも、「ちゃぶ台」や「ぺけ」等は外国語が訛ってそのまま日本語としての使われ方をされている典型的な例である。

一方では、すたれていった言葉もあるが、不思議なことに、発音やイントネーションは、 当時の方が現在のカタカナ語よりも本来に近かったものもあった。これは、当時の人々が、外国人が話すのを聞いたままに使っていたからだと思われる。


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