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JR根岸線 桜木町駅前道路際に最初の鉄道に使われた双頭レールを利用して作られた記念碑が建っている |
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1872年(明治5年)5月7日、横浜―品川間を初めてテスト営業として鉄道が走り、4ヵ月後、区間が新橋まで延長され、9月12日、横浜―新橋間での本営業となった。これが日本における鉄道の始まりである。
当時は1日9往復で、運転時間は53分。最初の横浜駅のあった場所は現在のJR桜木町駅。、新橋は現在の汐留であった。当時、横浜と新橋の間を53分で走り、大変スピードの速い乗り物だった。もしも馬車でこの区間を走ったとすると、4時間はかかった時代だったので、その速さが人々を驚嘆させたのも当然であった。
これを期に交通手段は馬車から鉄道へと移って行く訳だが、運賃も相当な高額であり、人々はすぐに鉄道を利用しようとはせず、自分の2本の足で1日かけて目的地までという従来の方法を取る者が多かった。ソバが1杯5厘という時代に、1番安い下等の料金が50銭だった。ソバを100回食べたつもりでやっと下等に乗る事ができたのである。また、乗客は15分前に駅に来いという規則もあったらしい。それらの事柄は、新聞で叩かれ、後に運賃は改定され、上等1円12銭5厘、中等75銭、そして下等は37銭5厘となり、1日9便の運行となった。それでも庶民にとっては高い乗り物だったのである。※1銭=1/100円、1厘=1/1,000円(10=1銭)、1円=金:1.5g。
このような鉄道であるから、そのエピソードも多々あり、履物をぬいで乗ったり、機関車の出す火の粉で火事になった等、数え上げればキリが無い程である。更に、漁師達は、その音と地響きに驚き、魚が逃げてしまっては自分達の死活問題と考え、鉄道は海辺から離れた場所に敷設を願いたいとの嘆願書を出したという話もある。それでも、この鉄道という文明は受け入れられ、人々は汽車が走るのを大いに楽しみ、当時の錦絵には多くの汽車が描かれたのであった。
現在、桜木町周辺は、横浜でも最も近代化が進んだ地域の1つであり、駅の東寄りには、初代横浜駅正面外観や仮営業開始当時の時刻表などが刻まれている「鉄道発祥の地記念碑」が、ひっそりとたたずんでいる。 |
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