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横浜中華街を象徴するものの一つに、牌楼と呼ばれる門がある。その数は全部で10基。どれも皆写真のように中国独特の色使いと装飾が施されており、その絢爛豪華な姿は訪れた人々の気分を盛り上げ、本場中国の世界へといざなってくれる。中でも最も有名なのは中華街中心部への入口にそびえる善隣門である。現在建っているのは1989年(平成元年)にリニューアルされたもので、初代は1955年(昭和30年)に完成している。当時はその名を牌楼門と呼んでいた。中央部分には「中華街」の文字が書かれており、これによってそれまで「南京町」という呼び名だったこの地区は「中華街」と呼ばれるようになったのだ。反対側には、隣国や隣家との親交を表す「親仁善隣」という言葉が書かれている。この善隣門を囲むように東南西北に建つ4基にはそれぞれの役割があり、重要な意味を持っている。東に位置する朝陽門は青色を基調とし、その守護神は青龍神という商売繁盛の神である。また、南に建つ朱雀門は赤が基調で守護神は朱雀神と呼ばれる平安と福の神。そして西は白が基調となる延平門が、守護神を白虎神として女性の産事と悪運の退散を司り、北には玄武門が黒を基調として建ち、守護神の玄武神が子孫繁栄をもたらすとされている。これは中国に古来より伝わる風水思想に基づいている。風水思想というのは、幸福を得んとするならば、自然との調和を保たねばならないという考え方である。横浜中華街にはこの他に、天長門、地久門、市場通り門が2基、それに西陽門の計5基があり、総数10基が連日のように訪れる観光客や、仕事帰りに食事を楽しみに来た人達を温かく出迎え、そして街の平和と繁栄を見守っているかのように、その華麗な表情を変えることなく堂々と建っている。 |
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