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JR関内駅南口を降りて、馬車道を海方向に歩いて行くと、左手にひときわ目立つドイツルネサンス洋式の重厚な建物が現れる。これが神奈川県立歴史博物館である。現在は博物館であるが、元は横浜正金銀行だった。横浜正金銀行は、貿易の増進や金融の円滑化を目的として建設された金融機関である。当時の輸出品として代表的だったのは生糸や茶であり、一方、輸入品は綿織物や毛織物が主体だった。取引は外国・日本の商人の間で行われていたが、これが中々円滑に進まず、福沢諭吉や大隈重信らの援助を得て国立銀行条例に従い、代表者を中村道太が務め、1880年(明治13年)2月28日にこの横浜の地で開業となった。後年、東京銀行横浜支店となり、1964年(昭和39年)に土地及び建物を神奈川県が買収し、博物館となった訳である。建物は妻木頼黄なる人物の設計により1899年(明治32年)から着工され、5年という長い年月をかけ、1904年(明治37年)に完成している。コリント方式の柱1本をとってみても、実に重々しい印象を感じる建築物である。関東大震災のおり、正面の上部にあるドーム部分が倒壊したが、後に復元され、1967年(昭和42年)に歴史博物館として開館し、横浜の歴史的な展示物を数多く有する事でも有名である。内部は地上三階・地下一階の構造になっており、休日ともなると、横浜観光に来た人々で賑わっている。また、その風貌はカメラマン達にとって絶好の被写体となり、その姿をフィルムに収められている。更に、路上ではイーゼルを立て、この歴史的建造物を水彩などで描く人も多く見うけられる。横浜を代表する歴史的建造物と言えるだろう。 |
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