「写真術」が、横浜から発祥した文化の一つだということはご存じだろうか? 幕末の1859年に横浜港が開港し、その翌年1860年に写真というものが上陸した。
ボストン出身のアメリカ人O.E.フリーマン(Orrin Erastus Freeman)が横浜に初の写真館を開いたのである。
その後、初の日本人写真師とされる下岡蓮杖(しもおか れんじょう)は、1862年に横浜に写真館を開業した。
彼は1823年(文政6年)伊豆下田生まれ。当初は絵師を志して江戸に出てきたが、そこで外国から入ってきたばかりの写真というものを見て興味を持ち、写真術の習得を目指すこととなった。
彼は横浜で出会ったアメリカ人の写真家ジョン・ウィルソンからカメラやスタジオを譲り受け、写真館を開業するが失敗。
当時の日本人は写真を撮影すると(寿命が縮まる)としてこれを嫌い、写真というものに馴染めなかったのだ。
そのような理由から、客はいずれも外国人が主であった。
やがて時代とともに迷信は消え、彼も苦労の末に弁天通りに再出店する。
その後一旦故郷の下田へ帰るが、再び横浜に出て、馬車道太田町角にも店を構え、店舗は次第に栄えていった。
馬車道にはその歴史を伝える「下岡蓮杖顕彰碑」がある。 |